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サマーウォーズ見てきた

面白かったし泣けた。興味ある人はもはや見てるだろうからネタバレを気にせず感想を書く。
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おもしろさの理由

時かけ』の時もそうだったけど、画面の中にぐいぐい気持ちが入り込んでいく。表情を見せるのがうまいのな。観客を驚かせたいときは驚いた顔の登場人物を見せる。基本だけどこれが自然でうまい。4億人のアバターを取り込んだラブマシーンに対して見せたカズマの絶望の表情とか、見せ所が上手だ。
テーマが『一致団結』というベタなものになっているのも感動しやすい部分だ。ラブマシーンに挑むのは最初はケンジとカズマの二人だった。それが理一、万助、太助おじさんたちの協力を得て、やがて陣内家の全員が力を合わせ、最後には1億人のOZユーザーが世界を救うために力を合わせることになる。単純だけど結構泣かされた。
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主役は陣内家

いちおう主人公はケンジということになってるけど、やはり主役は陣内家の面々だ。違うようでいてどこか似ていて、血縁の不思議さ、面白さを感じさせる。職業がやたら公務員が多いのは(ストーリーの要請もあるけど)ちょっとリアル。栄ばあちゃんの死後、女性陣は葬儀の準備だとなり、男性陣は弔い合戦だと浮き世離れしたことを言うのが良かった。プリンセストヨトミっぽくて笑った。
陣内家の中でも核になっているのは栄ばあちゃんと侘助だ。この二人のバックボーンに比べたら、ケンジなどたまたま紛れ込んできたに過ぎないわけで、観客が同じ目線で見るための「傍観者」に過ぎない。その悲しい役回りの代わりにハッピーエンドが用意されていたのは良かったけど。
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悪者が誰もいない物語

最初は悪ぶって登場する侘助だけど、徐々にその子供っぽさが暴露されていく。
OZを破壊した”ラブマシーン”を作った張本人は侘助なのだが、その理由は世界を混乱させるためではなく、養子の自分を本当の子どものように育ててくれた栄ばあちゃんに認められたいからだった。世界中の混乱を起こしたのはお前なのかと非難する親戚に対して「自分のせいじゃない。AIが勝手にやったことだ」という言い逃れは、完全に子どもだ。
だけど結局のところ、本当に侘助はばあちゃんに認められたくてやっただけなのだと明かされていく。栄ばあちゃんの死に面した表情を見て、誰も侘助のことを責めることができなくなってしまう。
 
OZのパスワードを解いたのがケンジではなかったというのも最初は意味がわからなかったが、誰も悪人を作らないと考えると、ケンジを犯罪者にしてしまわないための配慮だったんだと気づく。
嘘をついて夏希がケンジを田舎につれてきたのもばあちゃんを喜ばせるため。
スパコンを冷やすための氷柱を勝手に持ち出した翔太も、ばあちゃんの遺体が夏の暑さでいたまないようにするため。
いろんな人の善意が、誰かにとっては不都合になるという巡り合わせの妙が面白かった。
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味のある演技

時をかける少女』に続いて本職の声優さんではなく役者が声をあてているが、今回もそれがいい味を生んでいた。
なんといっても栄ばあちゃん役の富司純子さんが良い。この人に「あんたなら出来る」と言われると、嬉しいようなむずがゆいような気持ちになって、なにか胸にこみあげてくるものがある。
谷村美月の声が良すぎてカズマに惚れた。感情が高ぶるほどに女の子の声になるので「これは最後には女の子だと分かるんだろう」と思い、タンクトップから伸びる細い腕にドキドキしながら見ていたら普通に男の子だったとは・・・。こんなに可愛いのに女の子じゃないなんてどうかしている。
前作ではヒロイン役だった仲里依紗が、今作では3人の子持ちのおばさんの声をやっていた。出番も多くて重要な役だったけど、これには笑わせてもらった。
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結論:すごく良かった

総合してみると「すごく良かった」以外の評価にはならない。
映像も素晴らしかったけど、映像に現れた全てのものに意味が付されているような練り込まれたストーリーが見事だった。「時かけ」が素晴らしすぎた分サマーウォーズは期待薄めで見に行ったんだけど、それが申し訳ないぐらい。
良いものを見たおかげで、帯広行でくったりしていた体が映画館を出るころにはしゃっきりぽんとした。いろいろ大変なことも多かった旅行だけど、これを見れたおかげで報われた気がしましたよ。

 

感想リンク

たけくまメモで感想が書かれていたのでリンク。

で、そういうリアルな体験と、細田監督がかねてからテーマにしている「仮想世界でのバーチャルリアルな体験」をミックスさせたところが、細田監督の狙いだということはわかります。ただ、それがうまく行っているとは思えなかったんですね。
(中略)
陣内(じんのうち)家が、戦国大名から続く家柄で、主人公が巻き込まれる仮想世界での戦争に、一家全員が協力して戦うというアイデアは面白いと思うけれども、戦闘そのものは仮想世界でのアバター同士のバトルで、リアルな家族はモニター見ながら声援を送るだけというのは、なんかゲーセンのギャラリーみたいで白けます。
夏の終わりのサマーウォーズ(つづき・ネタバレ有): たけくまメモ

というわけでわりと酷評なんだけど、どうなんだろう。
この物語は”一家全員が協力して戦う”だけで終わってなくて、一個人の戦いから家族の戦いへ、そして全世界の見知らぬ人を味方につけて戦いを挑むところにカタルシスがあるんですよ。それを実現できたのは電脳空間での戦いだからだということがポイントなわけで、そういう意味で細田監督はうまく”田舎の大家族のアナクロな生活と、最先端の電脳世界”を関わらせていたと感じた。
だからたけくま氏のように家族のところでの違和感をもって思考停止してしまうと、それは面白くなかろうと思う。それに、”リアルな家族はモニター見ながら声援を送るだけ”というのも変。家族全員がスゴ腕ハッカーで、全員が電脳世界に突入して叩けば良かったんだろうか。それはちょっと無いだろうよ。
 
結論としては”「プロデューサー不在」を強く感じる作品になってしまったことは残念でした。”という『事情通』っぽくなっているのが寒い。ギョーカイ的な視点が邪魔になって作品を素直に楽しめなくなるというのは(それが飯の種とはいえ)悲しいことだなあ。趣味を仕事にするとはこういうことかもしれないね。
 

その他雑感

ユナイテッドシネマ札幌で見るのはこれで3回目。いい加減会員証を作った方が良いかもな。函館に来ない映画ばっかり見てるし。
ポップコーンセットを頼んだらポップコーンのMサイズがとんでもない量でびびった。ドラム缶か。そう思ってたら映画の3分の2ぐらいのところで完食してしまって2度驚いた。やはりキャラメル味のポップコーンはうまいなあ。