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僕は秋子に借りがある〈森博嗣自選短編集〉

読書


森博嗣の小説を読んで思うのは「主人公に色が無い」ということだった。もちろん物語によって主人公たちの職業も性別も異なるのだけど、我々読者が彼らの背後から作品世界を覗き込む時には主人公が誰であろうと関係がないというか。
作家によっては主人公に色をつけることで読者を誘導したり逆に迷わせたりもする。森博嗣の場合は透明なガラスのように見えつつも、実は凹凸があってトリックの肝になる部分だけがくっきりと見えたり、それまでぼんやりとしか見えなかったものがしばらくしてから見直すと角度が変わってよく見えるようになっていたり、そんな印象を受ける。それは多分、森博嗣のミステリが「解かせるためのミステリ」だからなんだろうな。
 
前半の短編はまさにその「解かせるためのミステリ」が続いていて楽しめる。特に『卒業文集』での思わず膝を打つような明快なトリックが良かった。
中盤からはミステリというよりファンタジーに近い作品が収められている。有川浩の『塩の街』を最近読んだせいで、収録の『砂の街』との類似性に目を引かれた。
ミステリもファンタジーも良いのだが、この短編集の肝は後半、私小説的な部分にあるだろう。『素敵な模型屋さん』『キシマ先生の静かな生活』あたりの、森自身が主人公であるとしか思えない短編はどちらも作者自身の心の内を表現していて面白かった。キシマ先生のアンチクライマックスな結末がより、現実味を感じさせる。
 
はてな年間100冊読書クラブ 212/229)
 
もう一冊くらいなにか読んだ気がするんだけど、全然タイトルが思い出せない・・・。
マンガも発売日に買って読んでないのがいっぱいあるなあ。借りたマンガも最初から読み直そうと思ってそのままだし。明日はマンガを読む日にしよう。