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第80期棋聖戦五番勝負

将棋

2連続で将棋関係のエントリを書いてしまうぐらい、今日の棋聖戦はおもしろかった。
例のkifureaderのおかげで、家にいなくても盤面が自由に見れるようになって助かる。さすがに職場のパソコンで将棋のページを開くわけにもいかんし。
 
ポケギコで棋譜のテキストをダウンロードしてkifureaderで読み取っているのだけど、ポケギコは同名のファイルを上書きダウンロードするとファイルにエラーを起こしてしまうみたいで、毎回更新するたびに元のファイルを削除しなければならないのが玉にきずだ。
kifureaderがウェブ上にある棋譜データを取り込めれば神認定。1,050円くらいは軽く払うぜよ。
 

負けた将棋を自ら指す

先手木村八段、後手羽生名人ではじまった対局は、なにか見覚えのある戦形へと進んでいった。自分は将棋を観るとは言ってもそれほど熱心なファンではないのだけど、この形は確かに見覚えがある。
そう、この後手急戦矢倉は去年の竜王戦第7局と全くの同一形なのだ。しかもその対局は後手の渡辺竜王が羽生名人を破り、竜王の座を防衛した歴史的な一戦。そのときに破れた将棋を今日羽生名人は、渡辺竜王の立場となって指しているのだ。
 
自分であればそんな大敗を喫した棋譜など見るのも嫌になると思うのだが(負けるのが嫌で指さない人間なので)、第一人者となれば違うのだと感心した。
だが、気になる点がいくつかある。棋譜コメントを読むと、

  1. 対局室に入った関係者が「羽生さん、なんだかニコニコしているんですよ」と話している。
  2. 木村はマスクをして対局に臨んでいる。羽生はまだニコニコしているとのこと。よほど嬉しかったのだろう。

http://live3.shogi.or.jp/kisei/kifu/data/20090609.kif

と、終始おもしろくて仕方ないといった様子だったようだ。もしかしたら羽生名人は、「今日は渡辺くんになりきって指そう♪」と決めてきていて、その通りに進んでいることが楽しかったのかもしれない。
 

謎の一手パス

事件は66手目に起こった。

この局面から羽生名人が指したのが△8六歩! さっき飛先の歩を手持ちにしたばっかりじゃん!
当然のように▲同歩△同飛▲8七歩と進んで、今度は△8四飛!
なんだこの一手パスは・・・?
 
確かに先手の形は矢倉を穴熊に組み換えて(これも渡辺流!)右辺に飛車と角を揃えて万全の体制だが、それにしても。しかし木村八段の陣形はどんどん前に出ざるを得ない体勢になっており、待たれたら攻めざるを得ない。そう考えると納得なのだが、一瞬何が起こったのか分からなかった。
後手で、さらに一手パスしても良くなるものなんだなあ。
 

不思議な角引き

上の図から少し進んでこの局面。

角を切って攻め続ければ先手優勢のところ、△6八角と引いたのが不思議だ。木村八段としては自信がない手順だったのだろうか。しかしこのあとは羽生名人の見事な寄せが炸裂して快勝することになったのを見ると、この一手は明らかに敗着だろうと思われたのだが感想戦によると、

敗者・木村挑戦者のほうは、
「▲6八角で十分やれそうだと思ったし、序盤もまずまずだったのに、そのあと乱れてしまった。相手の端攻めはそこしかないと思ったけれど、意外にうるさ かった。王さまがのこのこ出て行って、結局はダメだったけれど、そのときは良かったと思ったんだから、仕方ありません。▲9三歩成が悪かったような気がし ます」
と語った。
 
羽生棋聖は、「やる手がなくなってしまって、囲いに行くのではだめですね」と、穴熊は不本意という様子だった。
棋聖戦中継 plus: 【梅田望夫観戦記】 (9) 一致していた両対局者の大局観

とのことで、この場面は先手優勢だそうだ。う〜ん、分からない。深浦王位も渡辺竜王も後手優勢、と言っているので納得しておこう。
 

番勝負に勝てない

挑戦者の木村八段は、A級棋士にして通算勝率が七割を超えるという(普通は対戦相手が強くなるので級が上がると勝率が下がる)最強の棋士の一人であるのだが、なぜかタイトルがかかった番勝負では一度も勝てていないというジンクスがある(2005年竜王戦で渡辺に0-4で破れ、2008年王座戦で羽生に0-3で破れている)。
棋聖戦の挑戦者決定戦で若干20歳の稲葉陽四段を破った際は
「おいおい、大人げねえな」
と思ってしまうぐらい圧倒的な勝利をおさめて実力の差をみせつけたのだが、ここ一番、という時に勝てないのが不思議だ。
 
個人的にはこのまま羽生名人に3連勝してもらって、
「やはり木村は番勝負に勝てない」
というジンクスを継続するのがおもしろいと思っているのだが。