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直木賞は『悼む人』『利休に聞け』

読書

予想はおお外れ〜。
山本兼一はこの前『千両花嫁』でノミネートしていた*1けど、直近でノミネートしてた人に受賞させる例が多いよね。直木賞でいえば、

芥川賞でも、

  • 津村記久子(『婚礼、葬礼、その他』→『ポトスライムの舟』で受賞)
  • 川上未映子(『わたくし率 イン 歯ー、または世界』→『乳と卵』で受賞)
  • 楊逸(『ワンちゃん』→『時が滲む朝』)

と、かなり多い。
芥川賞は新人賞だから同じ人が続けてノミネートすることが多いのでそうなる理由が分かるけど、直木賞はちょっと不思議だ。受賞する瞬間が一番脂がのっている時期ということなのだろう。
 

ファミリーポートレイト

なぜこの作家にひかれるのかが少しだけ分かった。

ファミリーポートレイト

ファミリーポートレイト

多分桜庭一樹は、新しい作品を書く度に、新しい人生を生き直しているのだ。
たとえば僕らが中高生のとき、こんな普通の家庭ではなく、王家の子孫だったり魔法使いの家系だったり、そんなファンタジックな血脈を引いていたらと思ったことは一度や二度ではないはず。普通なら所詮は夢の話と妄想で終わってしまうところを、深く深く掘り下げて物語を作っていくところに、共感できる不思議な面白さがあるのだろう。
 
今作は暗く深く汚い、人間世界のタブーが凝り固まったような世界を生きてきた主人公が、作家としてただ一人で世界と立ち向かう物語なのだが、作者自身が「もし私がこういう出自だったら、現実の私はこうなっていただろう」という読み方をすると、一見して突拍子もないストーリーもしっくりと理解できる。
普通の小説家となった今でも、この人の根っこの部分はファンタジーにあるのだと感じた一冊だった。
 
はてな年間100冊読書クラブ 162/200)
 

いのちありけり

がんじがらめ。

いのちなりけり

いのちなりけり

前半部分、主人公の来歴を語る下りはかなり読ませるものがあった。一見凡庸な人物が実は・・・、という流れは時代劇の王道で面白くないわけが無い。
ところが後半、汚名を背負った主人公がいよいよ妻と再会するところから一気にトーンダウン。水戸黄門が幕府の陰謀に巻き込まれたり、それにイライラしたのかたいした事ない理由で家老を切り殺したり、物語の展開上必然性が無い(と思われる)エピソードが入ってきて急につまらなくなる。
特に終盤のチャンバラは完全に蛇足か。急にスーパーヒーローに変身しちゃうので興ざめした。愛ゆえに鬼神と化した、というより、映画化したりしたときのビジュアルを考えてるんじゃないかと邪推してしまった。
 
時代劇は面白いとは思うけど、全くの0から物語を紡いでいくことができない、史実を狂わさないように展開せざるをえないため、どうしても窮屈な印象を受けてしまう。それが歴史マニアにとっては嬉しいポイントなんだろうけど、そうではない自分にとっては「楽屋オチ」に思えて素直に楽しめないのだ。自由度が低いなあ。
 
はてな年間100冊読書クラブ 163/200)

*1:あんまり面白くなかった