主人公いらず

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身

おやつ感覚のミステリ。
 
読みはじめてすぐ「これだけの事件で一冊引っ張っちゃうの?」と思っていたら、そのまま突き進んでいて唖然とした。石神のキャラクターが独白するユニバーサル横メルカトル収録の「Ωの聖餐」っぽいなと感じたんだけど、自分が好きな作家だったら短編一つにまとめてしまいそうな内容だった。
トリックは面白いけど、登場人物が安易に感情に流されてしまうのがイマイチ。正直な話、主人公無しで展開した方がずっと深くゾクゾクするような物語になったと思う。まさかのガリレオ先生不要論。

20年かけて取り組める数学の難題がある。誰にも邪魔されず、全てを捨ててそれに取り組みたい。そう思っていた矢先に隣人が殺人を犯した。彼女の代わりに自分が犯人になれば、日銭を稼ぐ必要もなく一人牢獄の中で謎に取り組める。
そして彼は二重のトリックを仕掛けたのだった。犯人を隠すため、そしてその動機を隠すために・・・。

こんな感じのストーリーで良かったなぁ。恋とか愛よりも大事なものってあるじゃない。それが数学。萌えるわ〜。
生半可に面白いだけになおさら惜しい気持ちが大きい一冊だった。
147/200
 
映画化してたんだ・・・。知らなかった。