せなげ

結婚式に出席する妻のうなじの毛を剃りながら、高校生のための文章読本にあった一編を思い出した。
作者が銭湯に行ったところ、うら若き娘から花嫁衣装を着るので、うなじの毛を剃ってほしいと頼まれる。白きたおやかな首に剃刀を当てながら、明日婚礼に行くというのにこの娘にはうなじの毛を剃ってくれる親族もいないのだ、果たしてどんな境遇にあるのだろうか、と思いを寄せるのだ。
 
そういえば職場の同期にゆるふわセクシー系の女性がいるのだけど、胸元を大胆に開けてくるのは良いとして、背中を広げてくるときにうなじの毛、というか背毛(せなげ)までもがガバっとオープンにされているので困る。それと同時にああ、彼女にはせなげを注意する人も、ましてや剃ってくれる人もいないのだなと哀愁を感じてしまう。秋風にそよぐせなげ。
 

死ぬ

市長もか。市長もか。重なったら死ぬ。