2日目その4 〜世界三大○○〜

ばきゅんばきゅ〜ん、と撃ちまくって緊張したので、アイスを食べて一息つきました。

冷たい石の上でアイスとフルーツをまぜまぜすることでおなじみ、コールドストーンクリーマリーです。アイスはちょっと甘めだけど、果物が新鮮でおいしい。ここでも店員さんは日本語ぺらぺ〜らです。若いのに勉強熱心。
 
落ち着いたところで次は夕食。お昼もかなりハードなメニューだったんですが、次はいよいよ真打ち登場、世界三大臭い料理とも称される『ホンオフェ』に挑戦です! やはり韓国に来たならここでしか食べられないものを食べなくてはならないのだと、嫁さんを豪快に説得してお店へ向かいました。
朝ご飯のお粥を食べたチョンムロ駅の近くに『ホンタッチッ』という店にそれはあるといいます。
ガラガラっと入り口を開けると結構な盛況です。ワンちゃんの時も思ったけど、日本で珍料理として紹介されているわりに、地元の人はちゃんと食べてることに感心しました。壁のメニューを眺めていると、お店のおばさんに
「サンマッ?」
と聞かれました。これは自分が明石屋さんまに間違えられたわけではなく『三合』というホンオフェの食べ方のこと。ぶんぶんと首を縦に振ると
「○×△□マッコルリ?」
と言う。多分日本語にすれば
「ホンオフェを食べるということは当然マッコリを頼むのであるな?」
ということであろうと理解し、またしても首を縦に振りつつ
「ネーネー」
と答えると、おばちゃんは満足げな顔で奥に引っ込んでいきました。

まずはマッコリが登場。では乾杯とコップに注ぐと、おばちゃんが厨房から出てきてなにやら注意してくる。分からないままに聞いているとラチがあかないと思ったのか、やにわにコップを手にとると中身をご飯茶碗に注いでしまった。茶碗からグイっと飲んで見せると、再び満足げに厨房へ戻っていくおばちゃん。なるほどマッコリは茶碗で飲むのね。
それにしてもこの『長寿』というマッコリは絶妙にうまい。口当たりは甘く、後味はさっぱり。正直韓国のお酒文化のことはそれほど評価していなかったのだけど、これはちょいとしたテラ・インコグニタであるな、と思いを新たにしました。

ホンオフェ、キター(゚∀゚)!!
右の皿がホンオフェ。まだ臭くない。大丈夫。真ん中の皿がキムチと茹でた豚肉。この三種をサンチュに包んで食べるのが『三合』という食べ方なのである。
 
写真をとっているとおばちゃんが颯爽と再びやってきて、手に持っていた小皿を見せた。皿の中の肌色のぬろんとした固まり(エイの肝だと思う)を指さして、指を一本立てて見せるおばちゃん。これを最初に食え、ということだろうか。もしかしたらこれが『一合』なのかも。肝は塩で食べるらしい。通だ。ちょっと生臭いけど、とろりとしていてうまい。
続いてはホンオフェを一枚とって赤〜いソースに絡めてサンチュに包み、指を二本立てる。
最後にいよいよ『三合』だ。おばちゃんはサンチュにホンフェとキムチと豚肉を包み、生ニンニクと辛味噌を乗せるようなしぐさを見せ、指を三本立てた。
「オーケーオーケー、ワン、ツー、スリーね」
と答えておばちゃんを安心させて厨房に戻らせる。
 
いよいよ『二合』にチャレンジ。ホンフェを口の中にほおり込み、かみかみかみ。6カ月醗酵したエイは歯ごたえも柔らかく、タイやヒラメにも似たうま味がある。
「おいしいじゃん」
と嫁さんに言おうと口を開いた瞬間、
ふっ
ばあさんの家のぼっとんトイレが脳裏に浮かびます。ヤバい、本当に便所の匂いがする。口を開けて外気が鼻に抜けると危険みたい。
すかさずマッコリで流し込むと、ぼっとんトイレのイメージごときれいに消えていきました。マッコリすごい。
『三合』にするとさすがにエイの臭みは弱まるけれど、なるべく口で息をしないようにして飲み込むのが精一杯でした。軟骨があるせいで飲み込むのが大変。早く飲み込むべくかんでいたらアゴがすっかり疲れました。
生のエイの刺身も食べてみたけど、こちらはコリコリという歯ごたえばかりで特に味はないので、なるほど醗酵させたおかげで柔らかくうま味も増しているのだな、と納得はしたのですが、もう二度と食べようとは思いませんでした。一生に一度食べておけばオーケーではないかと。
 

このままでは寝れそうにないのでホテルの近くの居酒屋へ。
焼きとりとオデンを食べたんだけど、エリンギとギンナンがめちゃめちゃうまかった。なんでもないところにすごい旨いものが潜んでいるのが、韓国の底知れなさだなぁと感心しつつ、夜は更けていくのでした。