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奔流のように

電脳コイルの底本らしい、というのを聞いて読んでみました。

光車よ、まわれ! (fukkan.com)

光車よ、まわれ! (fukkan.com)

子供たち以外には見えない"光車"はまさに電脳メガネそのものだし、地霊文字という暗号っぽいワードも登場します。おじいちゃんが事件の鍵を握っていたり、この世界の裏側にあるもうひとつの世界のこと、細部は違っていても物語の骨子でつながっているのだと感じました。
天沢 退二郎の天沢と、龍子→勇子で、天沢勇子なのね。納得。
 
そういう元ネタ的な楽しみ方もあるけれど、物語自体も相当硬派なSFになっていて楽しめます。次々と襲い掛かってくる危機と、その不条理感がたまらなくクールで良いのですが、子供のころに読んでいたら結構怖かったかもしれません。
絶対この一冊では収まりきれないアイデアを、無理やりにぎゅうぎゅうに詰め込んでしまったという密度があるため、作者のイメージが奔流のように押し寄せてきて、自分の両サイドを轟々と流れていくようなスピード感がありました。
ああ、こういうのを"物語感が強い"っていうんだろうなと、しみじみと思ってしまいました。
 
111/200
 
 
この前紹介した『まほろ駅前多田便利軒』と直木賞をダブル受賞した作品*1
風に舞いあがるビニールシート

風に舞いあがるビニールシート

う〜ん、評価が難しい。うす〜い印象を受けるし、この回の直木賞は軽薄で"現代風(笑)"なものが受賞する傾向にあったのだな、とは思うのですが、どこかしら引っかかるものがありました。
たとえば言葉遣い。
 
吹けば飛ぶようなビニールシートはどこまでも飛んでいく
 
こんな、なんとなく違和感を感じるフレーズを必ず一つ二つ混ぜてきます。全体的には普通の文章なので、多分意図的に妙な言葉遣いをしていると思うのですが、それがちょっと面白かったです。
 
ただ、犬の里親ボランティア、仏像の修理人、国連難民高等弁務官など、みんなが知らないような職業をとりあげてその職業につきものの苦悩やジレンマを紹介するという、"ドラマ的"な作品が多かったように思えて、そこは弱いかな、と感じました。面白さをトリビアールな側面に頼りすぎているというか。
面白いっちゃ面白いけど、そういうのは小説の面白さとはちょっと違うんじゃないかな、と思っています。
 
 
112/200

*1:そういえば全然トラバが送られてこない・・・。コメント返したほうがいいんだろうか

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