溝
二人の芥川賞受賞作家の、好対照な二冊。
- 作者: 村田喜代子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/11/01
- メディア: 単行本
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最近女性作家のものを多く読んでいて思ったのですが、女の人の書く女性は、かなりグロテスクです*1。『八日目の蝉』の角田光代や、『ベーコン』の井上荒野もそうでしたが、主人公の女性たちの思考が自分とは全く異質で、どこか不気味なのです。好きとか嫌いとかの話ではなく、もっと根本的な階層での違い。
女の人は人のいのちを生み出す機能を持ってるだけに、人の死とも近い存在で、だからこそそれを突き詰めていくと、必然的にグロテスクになっていくのではないかと感じました。
- 作者: 辻原登
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/01/26
- メディア: 単行本
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男性にとっての理想の女性とは、あくまで自分に都合のいい女。予想もつかないことをしでかすこともあるけれど、最終的には愛し、赦し、受け入れてくれるもの。最初の2つの短編「ちょっと歪んだわたしのブローチ」「水いらず」では、まさにそのような、どうしようもない男に怒りを覚えながら、最終的には赦しを与えてしまう女性たちが描かれています。
二人の芥川賞受賞作家の描く、女性から見た女性と、男性から見た女性。この間にあるすさまじいほどに広い溝に感動をおぼえました。
108/200