直木賞候補3作目

う〜ん、この本もテーマが重い。今回は揃って暗くて重厚です。
 

敵影

敵影

 
掴みはすごくよかったのですが、長い。中編ぐらいの長さがちょうどよい感じです。作者の観察眼も描写力も素晴らしいのですが、そのせいで作品自体が冗長になってしまっていると言えばいいでしょうか。
 
小説は基本的に「アイデア勝負」なのだと最近思っています。思いついたとっぴで素敵なアイデアを、ただ伝えるよりももっと面白く、そして伝える意義を生むために肉付けをしていったもの、それが小説という形になるのだと。ハンバーグでいうとアイデアが肉で、背景描写や登場人物たちの会話は"つなぎ"に過ぎません。
今作の場合は、良いお肉を用意したんだけど、肉の量に対してつなぎの量が多すぎるといった印象でした。やはりボリュームをもっと抑えた方が良かったですね。もちろんアイデアをもっと盛り込んだり、それともスパイス(恋愛要素とか)をもっと加えてみたりするのもアリですが、それだとせっかくの味が伝わらなくなりそうです。
ボリュームのある大作も好きですが、ワンアイデアを上手に活かした短・中編が好きな自分にとっては、どうにももったいない一作でした。
 
86/100

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