NHKスペシャル|ワーキングプア〜働いても働いても豊かになれない〜

前にワーキングプア論に噛み付いたこともあるので、これは見ねば、と録画しておいた。
確かに興味深い作品だと思う。お金がすべての世の中になっていませんか?という問いかけは、誰に向けられた言葉だろうか。視聴者だろうか、それとも、この番組に登場している”自称プア”な人々だろうか。
とりあえず見ながら感想をつらつらと書いてみる。
 

女性たちの悲鳴

ああ、女の人は大変だよな。今まで男性ばかりのイメージがあったので、自分と比べて「甘えたようなこと言ってんじゃねー!」と思っていたが、女性は一人で働こうと思ったら確かに大変だろう。
でも、でもね、これは思ったらダメかもしれないけど、それでも『なんで結婚しないの』とは思う。女性の社会進出が、男性の、妻と子供を養っている男性の職業を奪っているわけで、それがワーキングプアを生んだ原因だと言ったら、本当のことだけどすごく怒られるだろう。でも事実です。
 
と思ってたら一人目は31歳で2人の子持ち&バツ1! 上の子を産んだときは19かー・・・。結婚して3年で離婚かー・・・。
もうね、絶句ですよ。突っ込みどころ多すぎ。突っ込むと下品になるので割愛する。
 
二人目。役場が仕事を民間に委託したから給料が下がって大変なんだってさ。アホかー! 公務員を叩くだけ叩いといてそれはねーだろ。
専門学校に推薦が決まってたけど親が病気になったので夢を諦めました、ですか。きれいな物語ですね〜。それだけきれいな物語があれば、夢を諦める理由になるんじゃないですか? ほかにいろんな選択肢があったことも、きれいに忘れちゃうには十分なストーリーだよね。挫折するより、諦めちゃうほうが楽なんだから、今の状況は当然でしょ?
 

疲弊する地方

え〜とね、地方が衰退するのはスケールメリットから言って当然。
これまで公共投資やらなんやらで地方に金を回しすぎたおかげで、いま日本という国自体が怪しいんだよ? あんたらが昔いい思いをしたツケが、今回ってきてるんだよ?
いや、これは責めすぎるのは悪いかな。彼らは田中角栄に代表される、政治の不均衡を利用した政治家たちの犠牲者なのだから。公共投資は中間搾取があるゆえに個人への実効が薄いんだけど、目の前の小金に踊らされると先のことは考えられないからね。
庶民がバカなのは当然として、政治家がそのバカを利用し始めると国が傾いいてしまうという、良い見本だと思っている。
 
ただ農業はな〜。これについてはいろいろと思い入れがあるので今回は省略。
 
 
続きはまた明日見よう。でもここまで見た段階でも、ワーキングプアというのは「これまで学ばなかった自分」を完全留保しておいて「これ以上努力しろというのか!」と言う現象だと考えていた自分の印象は間違ってなかったと確信できる。解決方法も分かるけど、それもまた明日。
 
この前テレビで和田アキ子が、自分の歌を作詞してくれた人がいるにもかかわらず紅白の出場歌手について、「知らない人ばかり」と発言したことが問題になっていたけれど、こういう風に自分の無知を、むしろ知らないことが名誉であるかのようにふるまうことが、いつの間にか正しいことになってしまったようだ。
「行政は何をしているんだ」と憤る人間の9割が、議会でどんなことが話されているか調べていないだろう。いまや24時間いつでもどこでも議事録が読める時代だというのに、である。情報が手に入りやすくなったからこそ、誰の手にもあるものだからこそ、「私はそのような誰でも手に入るものには興味が無い」という態度をとることが魅力的に映るのだろう。そういうことを考えさせられただけでも、すごく興味深い番組だった。