恋とストーカーと

もちろん殺人は"やってはならないこと"だから、どんな理由があれ裁かれるべきなんだけど、こういう事件を耳にするたび複雑な気持ちになります。

函館女性刺殺 容疑の男、在学中から付きまとう 事件前、職場にも
 
(略)
 
函館中央署は、同容疑者が無量林さんに一方的に好意を持ったストーカー行為が事件に発展した可能性もあるとみている。
 
道教大函館校によると、無量林さんは今年三月に卒業し、大手生命保険会社に就職したが、今月十五日、中原容疑者について「数日前、職場に突然現れた」と大学時代の担当教員だった杉浦清志副学長に相談していた。
 
 同容疑者はその際、無量林さんに「(卒業に必要な)教育実習の単位が取れた」などと話し、無量林さんは「迷惑だから、もう来ないで」と告げたという。
  
(略)
 
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/62662.html

 
どんな恋愛でも最初は一方的に始まるわけだし、相手が迷惑だと思おうが、なりふりかまってられないのも恋愛だと思うのです。でも最近の風潮だと、イケメンならともかくとして、
 
告白=迷惑→ストーカー認定
 
という図式が成立しちゃってるんじゃないかと。
加害者は被害者を含む大学の同級生から「いじめられていた」と訴えているというけど、被害者が同級生に「キモメンから言い寄られてる、助けて」と相談して、相談を受けた人間が二人が接触するのを妨害したとか、そんなことではないかと邪推しちゃうのです。
 
で、報われない生活を過ごすうちに妄想がどんどん加速していったんだろうな〜。「大学を卒業して一人前の男になれば、彼女も認めてくれるはずだ」とかなんとか。
足りなかった単位を取得して、ようやく卒業。それから2ヶ月間悩んだ末に、彼女に報告しようと決めた*1。ところが、加害者に告げられたのは「迷惑だから、もう来ないで」という言葉。これに対して
 
二度と会えない なら いなくても同じ
 
と考えたのは、不自然なことではないと思うのです。
いわゆる『痴情のもつれ』というやつで人が人を殺すのは、それほど珍しい事件じゃない*2。それなのに『ストーカー殺人=異常者の犯行』と決め付けてしまうと、似た様な犯罪をもっと増やす結果になってしまうんじゃないかと危惧します。
 
事件のことはもちろん断片しかわからないけれど、歯車のほんのすこしの掛け違いのせいでこのような悲劇に発展してしまったのではないかと思います。人が人を好きになるのに、良いも悪いもないはずです。お互いにもう少し、できることがあったのではないでしょうか。
 
 

*1:ここで勤務先に行っちゃうのは狂気だが

*2:「殺人」の3大動機は「憤怒」「怨恨」「痴情」