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将棋と脳とコンピューターと

読書

将棋はそんなに強くないが、見るのは大好きだ。そういうと必ず変な顔をされるが、野球好きがみんな草野球チームに入ってるわけじゃなし、別に不思議なことではない。『岡目八目』という言葉があるとおり、傍から見ているほうが状況が良く見えてくるので楽しい。
今はネット中継が充実しているので自分のようなファンには嬉しい世の中だ。現在も竜王戦の第3局はもちろん、朝日杯の予選までリアルタイムで観戦することができる。

こんな素晴らしい状況にあるのだが、意外と将棋界を取り巻く環境は厳しい。人気の低迷もさることながら、ボナンザをはじめとする将棋ソフトの台頭は、機械が人間より強くなった時に果たして将棋に興味を持つ人が残るのだろうかという、将棋の存在価値を根本から揺るがすような事態に直面している。
 

羽生―「最善手」を見つけ出す思考法 (知恵の森文庫)

羽生―「最善手」を見つけ出す思考法 (知恵の森文庫)

 
それでは今後、どのようにして活路を見出していけばいいのかという道筋がこの本に書かれていた。
中身としては羽生善治の言葉から、彼がどのように考えているのかを読み解いた解説本だが、それが思わぬ方向へ飛び火して滅法おもしろかった。心の4つの窓ではないが、羽生が思っている羽生自身と、他人からみえている羽生像との違いをくっきりと浮き上がらせた点。これは当然だとして、そこから発展して、羽生がどのように将棋界の未来を見通しているところまでを語っているところが名著である。
 
個人的には将棋で人間がコンピューターに負けようが、どうってことはないと考えている。人が100m走るよりフェラーリのほうが速いじゃないか。それでも人は、陸上競技を見るのをやめないんだ、と。ではなぜ、そこまでして人をひきつけるのか、そして今後も将棋が行き続けていく為にはどうしていかなければならないのか、その回答がこの本に収められている。自分が漠然と思っていた予感が、この本のおかげで明確になった。
人間にしかできないこと、機械ならできること。それは、将棋界のみならず我々の日常世界にも関係してくる。自分たちの役割を機械に奪い取られないために僕らができることはなにか、そのことを考えさせてくれる一冊だった。 
 
68/100
 
ところで図書館戦争がアニメ化ですってね、奥さん。製作が攻殻機動隊Production I.Gなので期待したいが、アニメになると声が予想と違うと大問題だから不安だ。どうせだったらいいものになってほしいが。