きれいなファンタジー

序盤はつらかったけど、そこを乗り越えて正解でした。

ミミズクと夜の王 (電撃文庫)

ミミズクと夜の王 (電撃文庫)

何がつらいって、最初は情報が少なすぎてもどかしいのです。何でここにいるのか。なぜここに来たのか。どうして救われたのか。そういう疑問を全て埒外にされておいてけぼりにされた気分になりました。
中盤以降は少女の背負ってきた苦痛と、それを乗り越えて「生きたい」という想いが伝わってきて感情移入できるようになります。そうなると森の様子や少女の姿が心の中に浮かんできて、暗いテーマを持ちながら正統派にまとめている点と合わせて、きれいな物語だと感じました。ラノベというより童話に近い純粋なものがあります。なぞめいた表紙も、もしかしたら反ラノベっぽい気持ちがあったのかも。
言葉遣いが全般的に荒削りだけど、こういうのはこれからかと。次回作も楽しみです。
 
45/100