古い日本への憧憬と、新しい時代の幕開け

 ファンタジックな話を期待していたら、意外と真面目なテーマで驚きました。

赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

 ただちょっと長すぎ。テーマを絞りきれてない感じがしました。一つ一つの章は面白いのに、全部繋げちゃうと冗長に感じます。少女七竈と七人の可愛そうな大人は今年読んだ本の中でもベスト5に入るくらい良かったので、期待が大きかった分残念。
 個人的には万葉の回をもっと掘り下げてこれだけで一本の話にしてほしかったです。ただし、最後の瞳子の章がそれまでと比べて薄味でど〜でもいい感じになっているのも作者の意図どおりかな、という気もしないでもない。作風を軽薄にすることで今の時代の薄っぺらな感じまでを表現しているとしたら、すごいけども策の練りすぎでしょう。

 直木賞候補作ならこの前読んだ「まんまこと」の方が良かったかな。でも相変わらずの桜庭節、真面目なのかふざけているのか分からない表現は大好きです。次はもう少し短いのを読もうっと。
 
35/100