札幌

 結局金曜日は朝まで歯痛でもがき苦しんだあげく、歯医者に乗り込んで件のクラウンを外させたところ膿みまくりで神経が半死半生とのこと。なにがただの歯肉炎だヤブ医者め。根幹治療ができてないじゃねえかヤブ医者め。
 さらには謝罪の言葉はないわ(『今日旅行って言ってませんでしたっけ?』「おかげで行けませんでしたよ」『あらまあ』なにがあらまあじゃ!)帰宅したら細菌が血管に入り込んで39度の高熱で苦しむわで、怒り心頭に達してますます熱は上がるばかり。まじで敗血病で死ぬところだった。
 こうなったらレセプト請求して内容証明郵便送って慰謝料と治療費(実費)請求してやる。正攻法の恐ろしさを目にもの見せてやる(怒)
 
 妻の看病の甲斐もあってどうにか一日で復活し、一路札幌へ。本当なら義父と三人でアサヒビール工場に行くつもりが土曜は休みのため(ヤブ医者め(怒))、余市にあるニッカウイスキーの工場へと予定変更。
 え? 病み上がりに酒はよくないって?
 大丈夫、最近いたじゃないですか「歯が痛いから焼酎でうがいした」って言ってた議員さんが(笑) 歯痛にはアルコールが特効薬なのである。もちろん飲酒運転はしないので安心してほしい。
 

工場見学

 ニッカに来るのはもう3回目なので、工場見学もなおざりに有料試飲コーナーへ。義父のおごりで25年物のシングルカスクをいただく。15ccで900円(!!!)
 加水処理もなんにもされてない本当に"生の"ウィスキーは、一滴を口に含んだときの衝撃がすばらしい。唾液と反応したとたんに科学反応をおこしたかのように味と香りが口いっぱいに広がり、あふれでた芳香は瞬く間に鼻孔をぬけて外へと逃げてゆく。
 シングルカスクのウィスキーは強烈すぎて普段飲みには向いていない。しかるべき場所で飲むべきものだと信じているため、うまいのは分かっているのだがボトルを買っては飲まないことにしているのだ。そのしかるべき場所の一つがこのニッカの工場であることは言うまでもない。

 他にもフレーバー付きのシングルモルトを何種類か試したあと、おもむろに2階の無料試飲会場へ向かう。バーテンダーから「余市10年のシングルカスクがあるよ」と言われ楽しみにして入場したが、会場は4年前とはずいぶん趣をかえていたのだった。
 まずおつまみ販売コーナーが無い。ソーセージを食べながらのんびりとウィスキーを傾けるのが至高の一時だっただけに非常に残念なこと。
 そしてもうひとつは試飲に制限がかかったこと。以前は全部飲み放題で、しかもブラックニッカとアップルワインは樽から直接注いでOKというバッカスの楽園のような場所だったのが、今では試飲は2杯までというなんとも肩すかしな注意書きが貼られていたのだった。その代わり試飲対象が高級になったこと(余市シングルモルト10年、鶴17年、アップルワイン、シードル、余市シングルカスク10年)と、つまみがなければ酒量にも制限がかかるので妥協はしたい。
 多分一部のマナーの悪い人間のせいで、楽園は滅びてしまったのだろう。サイレントマジョリティである我々は、悲しさをぐっと琥珀色の液体とともに飲み干すことしかできないのであった。
 
 おみやげに余市&宮城峡シングルモルト10年詰め合わせを購入。入場料代わりというのもあるが、うまい酒が飲めたおかげですっかり体調が良くなったお礼もこめて。五感が刺激されたことできっと、生命力の働きも強くなったのだろうと思う。ウィスキーの語源が『命の水』であることを心から実感させられました。