面白い小説とは

 その定義にはいろいろあると思うけど、「詰め込みすぎ」というのはその条件の一つだと思います。読み終わった後で「もったいない!」と思える作品、ぎゅうぎゅうにエッセンスが詰め込まれた作品というのが僕は好きです。

風が強く吹いている

風が強く吹いている

 この作品もそんな一つ。一人一人について1本の作品が書けるくらいに登場人物が濃い。1本の小説にこの内容をまとめるために、どれだけアイデアをそげ落としたんだろう。全てを読み終わって、最初飛ばし気味なのもご都合主義気味な展開も、全て1冊にまとめるため、クライマックスに全ての感動を集約するために行われた結果なんだと気づきました。今思ってもすごい作品です。
 
 これで本屋大賞10作品のうち5作を読んだわけだけど、意外とランキングと自分の中での順位がおんなじだったのに驚きます。作家としては伊坂幸太郎が一歩抜けてるけど、作品としてはこの「風が強く吹いている」が勝っていると感じました。他の人がどうなるかが楽しみです。
 
9/100