あの名作を○○化!

 東京乾電池の『長屋紳士録』を見に行ってきました。会場は七飯町文化センター。普段は舞台など見に行ったりはしないのですが、一人2,000円!と格安だったので行ってみることに。「宝くじ文化公演」ということで助成を受けて、通常の約半額らしいです。もうVIVA!宝くじですよ。みんなも買おうね*1
 
 で、肝心の中身なんですが、開演して十分ぐらいで頭上に大きな。ものすごい違和感です。やたらとシーンが切り替わって非常に間が悪い。なんだこりゃ。全然舞台っぽくないぞ。
 しばらく頭をひねっていて「そうだ、これは舞台じゃなくて映画なんだ!」と気が付きました。と同時にものすごくがっかり。確かに小津安二郎の長屋紳士録だってことは分かってるけど、映画の内容をまるでそのまま舞台でやって何の意味があるのか、と。
 映画なら一瞬で切り替わる場面も、舞台だから暗転→大音量でBGM→のそのそとお片付け。おかげでストーリーはぶつ切りぶつ切りで、しかもたった数十秒の思わせぶりな場面でもやるのだからタチが悪い。舞台としての文法に合わせる作業さえ省いてしまって、これじゃあ「映画の方が万倍面白かった」としか思えません。何を表現したかったのか全然見えず、眠気を我慢するだけの2時間でした。元ネタを見たくなる気にはさせてくれましたが。
 
 あの名作を舞台化!って言うならば「舞台じゃなければできない何か」を表現すべきなんじゃないの? もしくは柄本明的に「おれの解釈する小津安はこうだ!」っていうふんばりが見えてこないとダメなんじゃないの? 今回はどっちも無くて×です。映画化にしろアニメ化にしろドラマ化にしろ、あえて原作を違うジャンルに置き換えた意味ってものを考えてほしい。
 基本的に舞台/芝居は面白くないから見ないというスタンスなんですが、今回もそれが証明された形になりました*2。結局のところ映画>>>>>舞台なのは表現方法に制限がある分当然なことだし、"あえて"プロが舞台でやるならば「映画ではできないこと」を実現することが目的だからなのではないだろうか、と思ったら期待しすぎだろうか。
 

小津安二郎 DVD-BOX 第三集

小津安二郎 DVD-BOX 第三集

 小津作品は本当にものを食うシーンが多いですよね。長屋紳士録では特にアンパンをすすめるところが見どころ。舞台でもそういう小津流を生かそうとしてたみたいだけど、単にモゴモゴしてセリフが聞きにくいだけという効果しかありませんでした。こういうのって失敗したモノマネみたいで非常に後味が悪いですね。ぎゅう。

*1:自分は買わないけどw

*2:ラーメンズは除く