読書の記録

 ゲームばっかりやってるわけじゃないぞ、と。

 17世紀のアジアが熱い。日本では豊臣から徳川へと時代が移り変わったとき、中国では巨国明が滅び、新たな帝国が起ころうとしていた。辺境の一部族であった女真族が清という帝国を興すまでを一日本人の視点で語っている。
 読むたびに勉強になる。満州とは、満州族とは何か*1。倭と明に挟まれた韓国の立場。明を滅ぼした知られざる王朝。そして、人口たった50万人の女真族がいかにしてこの大陸の覇者へと登りつめることができたのか。知的興奮で声が漏れるほどだった。
 司馬遼太郎はこれを最後に小説を書くのをやめたそうだけど、持てる力のすべてを振り絞った、書きたいものをすべて書くぞ!という意気込みが感じられた。そのせいもあって最初は風呂敷が大きくて読むのが大変だったけど(笑)、収束していくにつれ面白さが深い方に変わっていくともう読むのを止められない感じ。誰か一人の気まぐれで歴史が大きく動きかねない状況の緊張感と言ったら、物語に没入するあまりに当然知っているはずの結末も忘れてしまうくらいだった。ここらへんの見せ方はさすがである。
 
 この前読んだ戦国海商伝はこれよりほんの少し前の時代の物語なんだけど、ほぼ同じ題材のものを続けて読んでほとんど違和感が感じられなかったのはすごい。司馬遼太郎がスラスラ読めるのは当然として、陳舜臣も負けないくらい文体が自然で読みやすかったんだなと今になって思う。
 そんなわけで次は『風よ雲よ』を読もうと思ってたら、図書館に置いてないということで取り寄せ中。でも鄭成功もいいけど、明末期から清の初期にかけての歴史をもっと深く知りたい気持ちだったりもします。とりあえず代わりに借りたジャンヌダルクものを返す時までにそこらへんを扱った本が無いか調べておこう。

*1:この辺はすごく思うところあり